《基礎知識》ダイエットのことを体重を減らすという考え方はとりあえず忘れようブログ:2014/03/02
一週間位前、ふた月振りにお母さんが帰ってきた。
「お父さんの還暦祝いをするんだけど、来てくれる?」
父の勤務地が変わって、
お母さんは父と函館へ行ってしまった。
そして、お母さんはときどき一人で函館に帰ってくるのだ。
お母さんが戻る日…
ぼくは仕事で休めなそうにないから無理だと言うと、
お母さんは寂しそうな顔で家を出ていった。
ぼくは家で一人ぼっちになると、
お母さんには悪いことをしたなぁ…と後悔した。
沈んだ気分を吹き飛ばしたくて
ぼくはテレビをつけた。
司会者とゲストが楽しそうにおしゃべりしている。
その遣り取りで、
ぼくはゲストが司会者から電報を受け取っているのが気になった。
「そういえば、電報という手があるな!」
父の還暦祝いに、
ぼくは真っ赤な鳳凰が羽ばたいているデザインのカードを選んで、
メッセージを添えて贈ることにした。
父の還暦祝いが行われた翌日、
お母さんから電話がかかってきた。
お母さんの声はいつもより弾んでいた。
「ありがとう。電報届いたよ。
感情をあまり出さないお父さんの久しぶりの笑顔が見れたわ」
「お父さん、喜んでくれたんやな」
「当り前よ。お父さんね、メッセージを読んでからしばらくの間、
鳳凰にみとれていたわ」
おしゃべり好きのお母さんの話はいつものように脱線し、
なかなか話が尽きなかったが、
ようやく電話を切ることができた。
お母さんの声が聞こえなくなると、
今度は父の姿が浮かんだ。
今頃
座敷に胡坐をかいて愉快な顔で
父はお酒を飲んでいるのかなぁ…
その横で、あの真っ赤な鳳凰は羽を休めていることだろう…